アレクサンダー・テクニークの会 ブログ

レッスンを始めました。レッスンのご案内、日々の気づきや、思うこと考えることを書きたいと思います。

アレクサンダー・テクニークとは、どんなもの? ①「からだの使い方」

 こんにちは、北村綾子です。
 F.M.アレクサンダー氏が作り上げたアレクサンダー・テクニークは、より良い「からだの使い方」メソッドといわれます。


 わかったような、わかりにくい説明です。それはアレクサンダー・テクニークが、「からだの使い方」を改善するという、めずらしい目的をもった技術だからだろうと思います。

 私は、これからアレクサンダー・テクニークがどんなものか、その原理も含めて、具体的に1つひとつ、書いていきたいと思います。

 

 その目的は、私自身の学びを整理すること。何かを教える側に立つということは、それを学び続ける必要がある、と考えています。なので、今の段階の、私の考えを整理しておきたいと思います。これは、ときどき読み考え、更新したいと思います。

 目的の2つめは、これを読んで下さる方が、どこかでアレクサンダー・テクニークに興味を持ってくだされば、いいなあ、と思っています。私の考えが、それは違うんじゃないの?と思って意見をいただけるなら、うれしい、と思っています。

 

 まずは「からだの使い方」という言葉について、書いていきたいと思います。

 

 アレクサンダー・テクニークの創始者F.M.アレクサンダー氏は、俳優でしたが、舞台の上で、声が出なくなるトラブルが起こってしまいます。その問題は医療機関に行っても解決できず、自分で解決しようと決心し、自分が声を出すとき何をしているか、鏡の前で観察を始めます。

 この実験と観察の結果、アレクサンダー・テクニークができるのです。これについては、後々詳しく書いていきたいと思います。

 

 とりあえず、先に進みますと、

 彼は実験を繰り返し、首の筋肉を固くすることも緩めることも、話すことも話さないことも、自分で選ぶことができるのが分かりました。彼は自分が選んだ行動(声を出すとか)の質を、ある程度まで決定できるようになりました。


 F.M.アレクサンダー氏は、彼の声の問題を解決し、アレクサンダー・テクニークという方法を確立しました。それを教えることを続けつつ、考え続けていました。更に、この方法論の発展について考え続けていたのです。

 

 彼は、「人は自分の選択する力を十分に行使しよう」というふうなことを語っています。
 つまり、人間は選ぶ力があるのだから、意識的に選ぶことをやっていこう、それには責任がともなうけれど、その人が思っている以上に選ぶことができる範囲は広いのだ、ということです。

 

 F.M.アレクサンダー氏は、自分がコントロールできる可能性があるように思えるすべての行動をコントロールするプロセスについて、「使い方」という言葉を用いて説明しました。

 だから「からだの使い方」というアレクサンダー・テクニークにおける意味は、自分がコントロールできる可能性があるように思えるすべての行動(体のこと・心のこと)をコントロールするプロセスのことなんですね。

 

 う~ん、わかったようで、わかりにくい。

 

 もう1つ、おもしろいことに、
 「からだの使い方」の概念は、「遺伝」とか「環境」とかと同じくらい、人間のありように影響があります。
 「遺伝」は、私たちの可能性を決定する要素として考えられています。「環境」は、私たちが何かを実現する範囲を決める要素です。
 私たち一人ひとりは、「遺伝」と「環境」とのなかで、自分自身の「からだの使い方」を意識的に、または無意識的にコントロールしているのです。そして、全体として、私のありよう、を形作っているのです。

 

 たとえば、お酒を飲み過ぎる人を例に考えてみます。お酒を飲み過ぎるという問題は、彼の遺伝や環境からきているのかもしれません。やがて彼は、お酒の飲み過ぎが、彼の身体や環境に害になっていることを認識しました。彼は自分がアルコール依存症なのだろうと分かって、やめたいと切に思うようになります。しかし長年の習慣は、やめたいと思うだけでは、すぐに変えることは出来ないので、彼は病院に行って、いろんな療法を試みることもできます。

 

 アルコール依存症の人たちの治療について、これまでの調査結果を見てみると、最もうまくいく治療のかたちは、禁酒同盟に入って(同じようにお酒をやめたいけれどやめられない人たち同士で話をしたり、実際にやめた人と話をしたり)、1人ひとりが自分に責任を持ち、現実に直面し(お酒を飲みたい、しかし飲むことで悪いことがたくさん起きる)、お酒を飲まないという選択をする力を助けることなのだそうです。

 

 この「お酒を飲まない」ことを自分で選択することは、お酒を飲まないという「からだ(心身)の使い方」を選ぶことによって、アルコール依存から抜け出る最も効果的な方法だということを、調査結果は示しています。

 

 ふむふむ、なんとなくわかるような気がするでしょう?

 

 ここでアレクサンダー・テクニークの話に戻りますね、
 この「選ぶ力」を、F.M.アレクサンダー氏は「人類最高の遺産」と呼びました。まあ100年以上前に生まれた人だし、シェークスピア戯曲が大好きな人だから、表現が大仰になるんです。意味するところをくみとってください。

 

 私たちが自分自身をどう使うのかが、私たちの機能(そのものが備わっている働き)に影響を与えることを、F.M.アレクサンダー氏は知ったのです。
 それは「声がかすれる」「声が出ない」という結果をもたらした声を出す器官の働き方は、若きF.M.アレクサンダー氏が、まずい「からだの使い方」をしていたから起こったことなんだと、数々の実験と観察を繰り返し、彼自身がわかったことなのです。

 

 彼は、彼自身そして人は自分自身で、今までとは異なった「からだの使い方」ができる。そして実験を重ね、いくつかの使い方が、ほかの使い方よりも、私たちのからだをより良く使えることが、わかりました。その実践によって、彼は自分のまずい「からだの使い方」から、より良い「使い方」へ変えていくことが出来たのです。

 

 この、よりよい「からだの使い方」の方法を学ぶのが、アレクサンダー・テクニークなのです。

 

 やっぱり、わかったようでわかりくいかも知れませんが、ではでは、このへんで終わります。ありがとうございました。