私たちの睡眠は、レム睡眠とノンレム睡眠を繰り返しているといわれています。
レム睡眠(急速眼球運動睡眠)の時、身体は骨格筋が弛緩して休息状態にあるが、脳が活動して覚醒状態にあるそうです。夢を見るのはこのときが多く、体は弛緩していて動かないそうです。
けれど、眼球は急速に動いている、脳とつながっているから、起きているんですね。
意識があるのに動けない「金縛り」は、この状態のときに起こるらしいです。
ノンレム睡眠は、「脳の眠り」といわれるそうです。一方、筋肉の活動は休止せず、体温は少し低くなり、呼吸や脈拍は非常に穏かになってきて血圧も下がるようです。寝返りをうったりしているのは、このときですね。
脳が覚醒していないため記憶されず、この間に夢をみていたかどうかは 確認が難しいようです。成長ホルモンをはじめとするホルモン分泌などは、このときに行われているそうです。
レム睡眠とノンレム睡眠は、一晩のうちに繰り返すようです。始めはノンレム睡眠がより深く長く出現し、起きる前には浅めで短いレム睡眠が多くなっていくのが、一般的な睡眠のリズムです。このリズムは1回1時間半くらいで繰り返し、4~5回繰り返すと、熟睡感と快適な目覚めが得られるといわれているそうです。
ここでアレクサンダー・テクニークのお話です。
アレクサンダー・テクニークのテーブルワークをご存じですか?
私は、テーブルワークが大好きです。
アレクサンダー・テクニーク講師の中には、テーブルワークが好きではない、嫌いな方もいます。
テーブルワークは、積極的に休息を学ぶワークです。
これ、どんなふうに、おこなうかというと。
マッサージテーブルのようなベッド(イギリス欧米では「アレクサンダー・テクニーク)のためのテーブル」があります)か、ない場合は床で、おこないます。
床なら沈み込まないような、ヨガマットのようなものを敷く。
学ぶ人(生徒さん、クライアントです)は、ここに横になる。後頭部の下に、枕のように本を敷きます。後頭部が、首に対して床(マット)に落ちないように、頭が沈み込まないように、本をおくのです。
「できるだけ力を抜いて、テーブルの上で休んでください」というふうなことを講師は言います。講師(先生)に言われても、多くの人は、十分弛緩することができません。
まあ、あまり知らない人の前で、横になって十分力を抜ける人は、そんなに多くないと思います。しかし、そのような条件をはぶいても、「ここは安全なんだから、力を抜いでもいいんですよ」と思って抜ける人は、多くないように思います。
身体の力を抜けないのは、なぜか?
慢性的緊張が身体にあるからだ、といえると思います。理由は、いろいろあるでしょうから、はぶくとしても。
テーブルワークは、意識のある状態(脳が目覚めた状態)で、身体の力をできるだけ抜く練習をします。それを、「建設的な休息」と呼んだりします。
この状態は、レム睡眠が起こっているときの私たちの身体状態と似ている、と私は気がつきました。
この考えは、先日、人間の睡眠について改めて学ぶ機会があったとき、ふと思いついた考えです。私が学んだアレクサンダー・テクニークのどの先生も言っていたわけではないので、私の思い付きなんですが。
確かに、私はアレクサンダー・テクニークを学ぶ前、眠れなくてハルシオン(睡眠薬)を飲んていました。睡眠薬はきりがなくて、どんどん量が増えていくのです。これではいけないと思い、何か他の方法で私の状態を改善しなければと思って、いろいろ探して試して、たどり着いたのがアレクサンダー・テクニークでした。
アレクサンダー・テクニークのテーブルワークを受けることで、私は、私のレム睡眠の練習をしていたんだと改めて思ったのです。
「創始者F.M.アレクサンダーは、テーブルワークをしなかった」と言う方がいますが、それは違います。F.M.アレクサンダーから習って、テーブルワークを教えてきた、と弟子のマクドナルドさんは言っていたそうです。